群馬暴力団組長3人射殺事件

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群馬暴力団組長3人射殺事件とは、2001年から2005年にかけて群馬県安中市山口組暴力団組長の高見沢勤が対立する暴力団組長ら3人を射殺した事件である。

事件概要

平成13年11月25日、群馬県安中市の山口組系暴力団組長の高見沢勤(当時46歳)は、前年の平成12年7月に起こした玉突き事故の保険金詐欺が発覚するのを恐れて、配下の組員に命じて、事故の被害者役にさせていた土木作業員の佐藤昇司さん(当時60歳)を群馬県安中市の林道で射殺して山林に遺棄した。高見沢は、保険会社から約1300万円を詐取していた。

平成17年4月3日、高見沢は配下の幹部と共謀して、組事務所に身を寄せていた渡辺直規さん(当時35歳)を拳銃で射殺した。

その後、遺体を松井田町の山林に遺棄した。高見沢と渡辺直規さんは、かつて同じ組に所属していた仲間だった。5年前に関西地区から移り住み高見沢の組事務所に出入りするようになった。だが、渡辺直規さんの態度、言動が原因で組内にトラブルが続いていた。

更に同年8月、稲川会系の幹部A破門となり、高見沢の事務所に出入りするようになった。これを不満に感じた稲川会系の渡辺良夫組長(当時61歳)ら数人がAの自宅を襲撃してAに重傷を負わせた。高見沢は、面子をつぶされたと激昂し同年9月4日午後11時過ぎ、安中市の路上で渡辺良夫組長を射殺した。

そして同年11月17日に高見沢は逮捕された。

裁判

1審前橋地裁(2008年2月4日)

高見沢は取調べから公判を通して「自分は、遺体を遺棄しただけ。いずれの殺人は配下の者が行った」として無罪を主張した。だが、平成20年2月4日、前橋地裁は、「組長の立場から組員に殺害を指示した。被告が責任を最も問われる立場にある」と断じて死刑を言い渡した。

2審東京高裁(2008年12月12日)

2008年(平成20年)12月12日、東京高裁群馬県内で対立する暴力団組長ら3人を射殺したとして殺人罪などに問われた元暴力団組長、高見沢勤(53歳)の控訴審判決で、1審の死刑判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

被告側は「実行犯との共謀はない」などと主張したが、安広文夫裁判長は「配下の組員らの供述から関与は明白。死刑判決を是認せざるを得ない」と述べた。

判決によると、高見沢被告は配下の組員に指示し、2001年11月に同県松井田町(現安中市)の林道で土木作業員の佐藤昇司(60歳)を、2005年9月に安中市内の路上で対立する渡辺良夫組長(61歳)をそれぞれ射殺。2005年4月には同市の組事務所を訪れた渡辺直規元組員(35歳)を自ら射殺した。

死刑確定(2012年10月23日)

平成24年10月23日、最高裁は上告を棄却して高見沢に死刑が確定した。

死刑執行(2014年8月29日)

谷垣禎一法相は29日午前、5人が死亡した青森県弘前市武富士支店放火殺人事件で強盗殺人罪などにより死刑が確定した小林光弘死刑囚(56)=仙台拘置支所=と、群馬県内で対立する暴力団組長ら3人を射殺し殺人罪などで死刑が確定した元暴力団組長、高見沢勤死刑囚(59)=東京拘置所=の2人の死刑を執行したと発表した。

死刑執行は2014年6月以来。2012年12月の政権交代による谷垣法相就任以降、6回で計11人が執行されたことになる。

確定判決によると、小林死刑囚は借金返済に困り、2001年5月、武富士弘前支店でガソリンが主成分の油をまき「金を出せ」と脅迫。拒まれたため火をつけた紙片を投げ入れて支店延べ約96平方メートルをほぼ全焼させ、従業員5人(当時20~46歳)を焼死させるなどした。2007年4月に最高裁で死刑が確定した。

一方、高見沢死刑囚は配下の組員に指示し、2001年11月に群馬県安中市(旧松井田町)で男性土木作業員(当時60歳)を、2005年9月に安中市内の路上で男性組長(同61歳)をそれぞれ射殺。2005年4月には同市の組事務所を訪れた男性元組員(同35歳)を自分で射殺した。2012年11月に最高裁で死刑が確定した。

確定から執行までの期間は小林死刑囚が約7年4カ月、高見沢死刑囚が約1年9カ月。小林死刑囚は今月6日に3度目の再審請求の棄却が確定したばかり。

静岡市(旧静岡県清水市)で1966年、一家4人を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定し、2014年3月に再審開始決定を受けて釈放された元プロボクサー、袴田巌元被告(78)を除くと、確定死刑囚は125人となった。

谷垣法相は29日午前の記者会見で「いずれも身勝手な理由で尊い人命を奪った事件。遺族は無念このうえないと思う」と述べた。